- 山崎 元さん (やまざき・はじめ)
- 1958年北海道出身。1981年に東京大学経済学部を卒業し、三菱商事に就職。以後12回の転職(→野村投信→住友生命→住友信託→シュローダー投信→バーラ→メリルリンチ証券→パリバ証券→山一證券→DKA→明治生命→UFJ総研)を経て、2005年1月から楽天証券経済研究所客員研究員。ファンドマネジャー、コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛ける。一橋大学大学院国際企業戦略研究科非常勤講師。著書に『ファンドマネジメント』(きんざい)『年金運用の実際知識』(東洋経済)『お金がふえるシンプルな考え方』(ダイヤモンド社)『転職哲学』(かんき出版)ほか多数。『週刊ダイヤモンド』『週刊朝日』『日経ビジネスアソシエ』等に連載。メールマガジンJMM(Japan Mail Media。村上龍編集長)の常連寄稿家。1994年東洋経済高橋亀吉記念賞優秀賞受賞。
インタビュー
- −−この本は、2001年10月にダイヤモンド社から発行された『お金がふえるシンプルな考え方−マネーのルール24』に加筆修正をほどこし、さらに文庫版にしたものですね。なぜ、今このような形をとられたのでしょう?
- 山崎さんマネー運用が広く一般の人にも身近になっていますが、なかなか正しく分かりやすく説明されているものが少ないからです。文庫版ならかさばりませんから、通勤途中などに読むにも便利ですし、ハードカバーの本に比べて価格も手頃です。こういう形にすることで、より多くの方に手にとっていただければいいと願っています。既存のものに加筆修正したのには、ふたつの理由があります。ひとつは、前著をベースにした理由で、それは基本的な考え方は4年経った今でも大きく変わらなかったということ。これは、前著であげたルールが年月の経過に左右されない骨子の部分であることを表しています。そしてふたつめは、加筆をした理由ですが、それはもちろん、この4年の間に新しい金融商品が登場したことや、より具体的な説明を増やしたかったからです。
- −−読者は、山崎さんがどのような実績を通してこれらのルールを見出したか知りたいと思いますが、これまでどんなお仕事をしてこられたのでしょう?また、ずいぶんとお勤め先を変わられていますが、その中で得られたものはなんでしょう?
- 山崎さん会社はたしかにたくさん移りましたね(笑)。しかし、手掛けてきた仕事は一貫してお金の運用に関係する仕事です。ただ、それぞれに異なる各会社のやり方を見てこられていろいろ勉強になりました。さらに、数年前からは個人のお金の運用という分野に興味を持ち、「自分のお金を運用する」ということもやってみました。そこで見えてきたのは、いかに個人投資家に正しい知識が知れ渡っていないかということです。利益を生む構造やその理屈は大会社のおおきな金額のお金でも、個人のお金でも同じこと。むしろ、個人の方がそれぞれに複雑な事情があったりして、理論的にはかえって難しいのです。そして、金融商品を運用する側、販売する側の様々な立場を経験してみて、いろいろなからくりが見えました。
- −−たとえばどういうことでしょう?
- 山崎さん金融商品を売る側は、うまいことを言って、より儲けようとする。もちろんウソはつきませんが、どんなリスクでどのくらい儲かるかということはお客さんに全て説明するわけではありません。消費者は複雑な仕組みを巧みに説明され、今度こそもっと儲かるのではないかと目新しい商品に飛びつくわけです。内容をきちんと理解した上で買う分には問題はありませんが、実際は新しく登場した商品の仕組みはとても分かりにくい。そしてこれは主として、儲けの構造をより分かりにくくするためなのです。そうそうウマイ話があるわけはないんです。
- −−でも、専門的な知識がないとそれを見極めるのは難しいですよね。
- 山崎さんええ、だからこそ、分かりやすいものしか買ってはいけないんです。ものを買うなら、それがどんなものか人に説明できるくらいに分からなくてはダメだというのは当然のことですよね。何でできているか分からないものを買って食べたりしないでしょう? それと同じことなのですが。ところが、お金のこととなるとなぜかそうはいかない。この本ではその謎解きをしています。みなさんに、もっと賢い消費者になっていただきたいですから。
- −−それでは、専門知識がない人が手始めになにか買うとしたら何がオススメですか?
- 山崎さんそれが、よくある「初心者向け」という落とし穴です。先ほど申し上げたように金額の大小に関わらず利益が出る仕組みは同じですから、初心者向け、ベテラン向けなんてものはないんです。ただ、株式投資の場合、市場でプロ同士が取引している価格で売り買い出来ますし、その際の手数料も明らかです。きちんとルールにのっとってやればトラブルの少ない商品です。もちろん、タイミングや銘柄選択を間違えれば損をするわけですが、そこがゲームのオモシロさですし、得をしても損をしても、理由が明快ですし自己責任ですから納得できるでしょう。
- −−なるほど、こういった良く考えればあたりまえなのについ見落としたり、目先の利益に目がくらんで忘れてしまったりするルールがこの本に綴られているわけですね。
- 山崎さんそういうことになりますね。かつては一部の人だけがやってきた投資ですが、インターネットの普及などもあって、今では誰でもできる身近なものになっています。つまり、お金を出しているのは、投資について知識が豊富な人ばかりではないということです。だからこそ、みなさんに正しい知識をわかりやすく説明したかった。本心を言えば、この本を無料で配りたいくらいの気持ちです。残念ながらそうはいきませんが……。
- −−そのお言葉だけで、山崎さんの誠意が伝わるというものです。本日はお忙しい中、有意義なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました。
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