世界の文学に影響を与る日本の作家として、2006年にカフカ賞を受賞した村上春樹。
いつまでも読んでいたい。いつまでも浸かっていたい「村上春樹ワールド」を隅々までご堪能ください
世界中から届いた3万7465通のメールを、たったひとりで完全読破し、せつせつと書き連ねた3716の回答から、笑って泣いて考えさせられる473の問答を厳選!フジモトマサル描き下ろしイラスト満載の愛蔵版!
図書館の地下のその奥深く、羊男と恐怖と美少女のはざまで、ぼくは新月の闇を待っていた。あの名短篇が、ドイツの気鋭画家によるミステリアスなイラストと響きあう。新感覚アートブック第三弾!
僕は二度、パン屋を襲撃した。一度めは包丁を体に隠して、二度めは散弾銃を車に載せてー。初期作品として名高い「パン屋襲撃」「パン屋再襲撃」が、時を経て甦る。ドイツ気鋭画家のイラストレーションと構成するヴィジュアル・ブック。
村上春樹7年ぶりの新作!2009年一番売れた長編小説!1985年、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、1994年、『ねじまき鳥クロニクル』、2002年、『海辺のカフカ』。そして今年、待望の新作長編刊行!心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。心から外に出ないものごとは、そこに別の世界を作り上げていく。
「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。ファン待望、村上春樹の書き下ろし最新長編小説、ついに刊行。
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天 井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激し く混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
⇒『ノルウェイの森』下巻を見る
時計の針が深夜零時を指すほんの少し前、都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた。フード付きパーカにブルージーンズという姿の彼女のもとに、ひとりの男性が近づいて声をかける。そして、同じ時刻、ある視線が、もう一人の若い女性をとらえるー。新しい小説世界に向かう、村上春樹の長編。
15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真…。
⇒『海辺のカフカ』下巻を見る
22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。―そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー。
僕の家から、まず猫が消えた。そして妻のクミコも姿を消した。一人きりになった僕の家に奇妙な電話がかかるたび、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜をはじめる。最愛の妻を取り戻すため、'84年の世田谷の路地裏から'38年の満州蒙古国境まで、駅前のクリーニング屋から意識の中にある井戸の底まで、暴力とエロスの予感に包まれた、地図のない冒険の旅が始まる。
⇒『ねじまき鳥クロニクル』シリーズを見る
今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろうーたぶん。「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われてー。日常に潜む不安をみずみずしく描く話題作。
『羊をめぐる冒険』から四年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。70年代の魂の遍歴を辿った著者が80年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。
⇒『ダンス・ダンス・ダンス』下巻を見る
高い壁に囲まれ、閉ざされた街で、一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす<僕>の物語(世界の終わり)。老科学者により、意識の核に奇妙な思考回路を組み込まれた<私>が、その回路に隠された秘密をめぐって活躍する(ハードボイルド・ワンダーランド)。静かな幻想世界と波乱万丈の冒険劇が交互に進み、そして迎える意外な結末。村上春樹の不思議の国。
⇒『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』下巻を見る
あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい“鼠”の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。
⇒『羊をめぐる冒険』下巻を見る
さようなら、3フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との“僕”の日々。女の温もりに沈む“鼠”の渇き。やがて来る一つの季節の終り―デビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた村上春樹が、ほろ苦い青春を描く三部作のうち、大いなる予感に満ちた第二弾。
1970年の夏、海辺の街に帰省した“僕”は、友人の“鼠”とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。二人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、“僕”の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた村上春樹の出色のデビュー作。群像新人賞受賞。
肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却…。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。
ただのインタビューではあらない。『騎士団長殺し』の誕生秘話、創作の極意、少年期の記憶、フェミニズム的疑問、名声と日常、そして死後のこと……。誰もが知りたくて訊けなかったことを、誰よりも鮮烈な言葉で引き出した貴重な記録。11時間、25万字におよぶ、「作家×作家」の金字塔的インタビュー。
「村上春樹」は小説家としてどう歩んで来たかー作家デビューから現在までの軌跡、長編小説の書き方や文章を書き続ける姿勢などを、著者自身が豊富な具体例とエピソードを交えて語り尽くす。
『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『羊男のクリスマス』『村上ラヂオ』『ポートレイト・イン・ジャズ』『村上ソングズ』『冬の夢』『象工場のハッピーエンド』『ふわふわ』『村上朝日堂超短篇小説 夜のくもざる』etc.物語るイラストレーション。
演奏も振る舞いも超個性的で自由で独特そのもの。しかし、じっくり耳を傾ければその音楽は聴く者の心を強く励まし、深く静かに説得してくれるー高名な批評家、若き日を知るミュージシャン、仕事を共にしたプロデューサーらが綴った文章に加え、村上春樹自身のエッセイと「私的レコード案内」でその魅力の真髄に迫る。
小説家はマエストロを聴き尽くす。東京で、世界の様々な場所で、時間を忘れ自由に語り合った一年に及ぶ日々。不世出の指揮者、その煌めく魂に触れる迫真のロング・インタビュー。
「女」と名のつくものはたとえ動物であろうと入れない、ギリシャ正教の聖地アトス。険しい山道にも、厳しい天候にも、粗食にも負けず、アトスの山中を修道院から修道院へひたすら歩くギリシャ編。一転、若葉マークの四駆を駆って、ボスフォラス海峡を抜け、兵隊と羊と埃がいっぱいのトルコ一周の旅へー。雨に降られ太陽に…
村上春樹が語る村上春樹の世界。19本のインタビューで明かされる、いかに作家は生まれたのか、創作のプロセスについてー。公の発言が決して多くない村上春樹は、ただしいったんそれに応じるや、誰にも決して真似できない誠実さ、率直さをもってどこまでも答える。2011年6月に行われた最新インタビューをオリジナル…
なぜ、アボカドはむずかしい?究極のジョギング・コースってどこだろう。アザラシのくちづけの味、ギリシャの幽霊、ロシアと日本のかぶをめぐる昔話の違い…etc。小説家の抽斗から飛び出す愉しいエピソードの数々。長編小説『1Q84』刊行後、雑誌「アンアン」に連載された人気エッセイ・シリーズ52編を収録する。
男がオムレツを作るとき、どんな風景がいちばんふさわしいでしょう?おたくの猫には、音楽の好き嫌いがあると思いますか?村上春樹さんは占い師として、はたして大成したでしょうか?最新のムラカミ情報満載の「村上ラヂオ」第三作。
1995年3月20日の朝、東京の地下でほんとうに何が起こったのか。同年1月の阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、62人の関係者にインタビューを重ね、村上春樹が真相に迫るノンフィクション書き下ろし。
村上春樹が語るアメリカ体験や'60年代学生紛争、オウム事件と阪神大震災の衝撃を、河合隼雄は深く受けとめ、箱庭療法の奥深さや、一人一人が独自の「物語」を生きることの重要さを訴える。「個人は日本歴史といかに結びつくか」から「結婚生活の勘どころ」まで、現場の最先端からの思索はやがて、疲弊した日本社会こそ、いまポジティブな転換点にあることを浮き彫りにする。
ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきたのだ。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。―その音にさそわれて僕はギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。1986年秋から1989年秋まで3年間をつづる新しいかたちの旅行記。
シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。そこで授けられた「アイラ的哲学」とは?『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか?蒸溜所をたずね、パブをはしごする。飲む、また飲む。二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、そして、たしかな誇りと喜びをもって生きる人々―。芳醇かつ静謐なエッセイ。
秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった……。もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。
1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる…。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた―。深い闇の中に光を放つ6つの黙示録。
待望の、村上春樹初の本格的音楽エッセイ。シューベルトのピアノ・ソナタからジャズの巨星スタン・ゲッツの“闇の二年間”、ブルース・スプリングスティーン、Jポップのスガシカオまで、すべての音楽シーンから選りすぐった十一人の名曲がじっくりと、磨き抜かれた達意の文章で、しかもあふれるばかりの愛情をもって語り尽くされる。
2000年、シドニーの23日間。初めてのダウンアンダー(南半球)、アスリートたちとともに<走る作家>は何を見、どう語るか?好奇心に満ちた作家が、地べたから描き尽くした、その時その場でしか得られないドラマの数かず。リアルタイムで書き継がれた、23日間のシドニー日誌がほんとうの感動を伝える。
⇒『シドニー!(コアラ純情篇)』を見る
図書館で「オスマントルコ帝国の税金のあつめ方について知りたいんです」とたずねたぼくに、老人の目がきらりと光った。案内された地下の閲覧室。階段をおりた奥から、羊男が現れて…。はたしてぼくは、図書館から脱出できるのか?村上春樹と佐々木マキが贈る、魅力溢れる大人のためのファンタジー。
久しぶりにリュックを肩にかけた。めざすはモンゴル草原、北米横断、砂埃舞うメキシコの町…。NY郊外の超豪華コッテージに圧倒され、無人の島・からす島では虫の大群の大襲撃!旅の最後は震災に見舞われた故郷・神戸。ご存じ、写真のエイゾー君と、讃岐のディープなうどん紀行には、安西水丸画伯も飛び入り、村上春樹の旅は続く。
はじめて日本の現代小説にふれる若い読者のために、小説の面白さ、楽しさを味わうために、著者自身が用意したスペシャル・アンソロジー。はじめてのひとも、村上春樹ファンも欠かせない一冊。
舞台は60年代の米国東部の名門カレッジ。真面目で内気な学生ジェリーは、入学後すぐにお喋りで風変わりな女子大生プーキーと知り合った。彼女にふり回されながらも、しだいに芽生えていく恋。街角でのくちづけ、吹雪の夜の抱擁……だが、愛はいつしかすれ違い、別れの時が来る。
第二次大戦下のニューヨークで、居並びセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった…。
J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳でありつづけるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。
七月の奇妙な月、ヴェニスに消えたーー。謎の人物ハリス・バーディック氏が残した14枚の絵には題名と説明文がついていた。それぞれの絵が物語を語りはじめるモノクロームの評判作。
この世で最も素晴らしい幸福とは短い幸福であるということが、ビョーン・ハンセンには心の底でわかっていた。ノルウェイ文学界の最も刺激的な作家ソールスター。巧妙なストーリーテリング、型破りな展開、オリジナリティ際だつその小説世界を村上春樹が初めて日本に紹介するー
象が消えた…不可解な状況下で失踪した動物園の象とその飼育係。謎はどのように解き明かされるのか。村上春樹の傑作短編をジェイ・ルービンの英訳とともに完全掲載。村上春樹作品の、何が訳され、何が訳されていないのか。詳細な解説によって、英訳と原作両方の魅力を味わう。
かえるくんとみみずくんの凄絶な戦いを描いた村上春樹の傑作短編をジェイ・ルービンの英訳とともに完全掲載。詳細な解説によって、英訳と原作両方の魅力を味わう。
私立探偵フィリップ・マーロウは、裕福な老女エリザベス・マードックから、出奔した義理の娘リンダを探してほしいと依頼された。老女は、亡き夫が遺した貴重な金貨をリンダが持ち逃げしたと固く信じていたが、エリザベスの息子レスリー、秘書のマールの振る舞いにもどこか裏がありそうな気配だ。マーロウは、リンダの女友…
名門の大学に通うグラス家の美しい末娘フラニーと俳優で五歳年上の兄ズーイ。物語は登場人物たちの都会的な会話に溢れ、深い隠喩に満ちている。エゴだらけの世界に欺瞞を覚え、小さな宗教書に魂の救済を求めるフラニー。ズーイは才気とユーモアに富む渾身の言葉で自分の殻に閉じこもる妹を救い出す。ナイーヴで優しい魂を…
私立探偵フィリップ・マーロウ。三十三歳。独身。命令への不服従にはいささか実績のある男だ。ある日、彼は資産家の将軍に呼び出された。将軍は娘が賭場で作った借金をネタに強請られているという。解決を約束したマーロウは、犯人らしき男が経営する古書店を調べ始めた。表看板とは別にいかがわしい商売が営まれているよ…
「行方不明の兄オリンを探してほしい」私立探偵フィリップ・マーロウの事務所を訪れたオーファメイと名乗る若い娘は、二十ドルを握りしめてそう告げた。マーロウは娘のいわくありげな態度に惹かれて依頼を引き受ける。しかし、調査をはじめた彼の行く先々で、アイスピックで首のうしろをひと刺しされた死体が…。謎が謎を…
レスターは上官の罵声を浴び、モンクは警棒を振り下ろされ、ミンガスは破壊することをやめない。酒、ドラッグ、哀しみの歴史に傷つき、自ら迷路をさまようミュージシャンたち。しかし彼らの人生には、それでも美しいジャズの響きがあったー伝説的プレイヤーの姿を、想像力と自由な文体で即興変奏する、ジャズを描いた8つ…
刑務所から出所したばかりの大男へら鹿マロイは、八年前に別れた恋人ヴェルマを探して黒人街にやってきた。しかし女は見つからず激情に駆られたマロイは酒場で殺人を犯してしまう。現場に偶然居合わせた私立探偵フィリップ・マーロウは、行方をくらました大男を追って、ロサンジェルスの街を彷徨うが…。マロイの一途な愛…
天衣無縫に、鮮やかに、そして痛切にー八十年の時を越えて今も読む者の心を打つ、二十代の天才的作家の瑞々しい筆致。フィッツジェラルドのベスト短篇の一つに訳者が挙げる表題作ほか、来るべき長篇小説の原型を成す「プレ・ギャツビー」期の五篇をセレクトした“若き日の名作集”。
彼はヒーローであり、犠牲者であり、ときに悪漢でもあったー貧困と飲酒、職も住まいも定まらぬ日々。苛酷な現実はいかにして短編小説という芸術に昇華されたのか。R・フォード、J・マキナニー、T・ウルフ、S・トゥローら作家仲間、前妻メアリアンと実娘。通夜の席で語られる故人の思い出話のごとく、その人となりが立体的に浮かび上がるインタビュー集。
『愛について語るときに我々の語ること』は編集者が原稿を大胆に改変した作品集だった-。完全オリジナル原稿発掘により、本来の姿を復元。背景を詳しく解説する訳者あとがきと資料も収録。素朴にしてふくよか、胸を打つ17篇。
密なる才能、器量の大きさ、繊細な心…カーヴァーは、彼について語るべき何かをあとに残していくことのできる人だったーJ・マキナニー、T・ウルフ、G・フィスケットジョンほか、早すぎる死を心から悼む九人が慈しむように綴ったメモワール。
人生に残されたわずかな日々、短篇小説の執筆をあきらめ、詩作を選び、心血を注いで刻みつけた命の終わりの鮮烈な輝きー。最後にたどり着いた唯一の場所で、文学的・人間的静けさを手にした真摯な創作者レイモンド・カーヴァー。その遺作となった詩集。
僕らはフィッツジェラルドという不躾なくらいに気前よく才能をまき散らす作家に、脱帽しないわけにはいかない-天性の「作家の眼」と、見事なばかりの筆の切れ、失敗者に注がれる温かいまなざし。ビター・スイートなフェアリ・テイル五篇に、訳者のアッシュヴィル訪問記を付す。ライブラリー版にはマルカム・カウリーのエッセイを新収録。
世界を見つめる一対のたしかな目、不思議な静けさと深い滋養。匂い、温もり、肌触り、息づかい…紛れもないカーヴァーの宇宙がここにあるー。没後十余年を経て発掘された未発表短篇集。既存の作品間を結ぶ「ミッシング・リンク」としても貴重な五篇を収録。
既成の文学観の埒外とも言うべき、アーヴィングのマッシブな小説世界はここから始まったー骨太、大胆、エキサイティングで予測不能。傲慢なまでの若々しさと、青春小説の特別な輝きに満ちたデビュー作。
アーヴィングはその作品を通して僕をつよく励ましてくれたー現代小説の世界を大きく膨らませる「圧倒的な物語」を持ち込み、同時代作家として訳者を夢中にさせたアメリカ文学界の暴れん坊。その出現を告げる長篇小説。ライブラリー版にはアーヴィングのエッセイを新収録。
作家としての輝きのピークにあって、病に倒れたカーヴァー。生前に発表された最後の一篇であり、壮絶さと、淡々とした風情が胸を打つ「使い走り」ほか、秀作全七篇を収録した最晩年の短篇集。ライブラリー版のために改訳。
雨のロンドン、酷暑のプエルト・リコ…世界のどんづまりで戸惑う人々の悲喜劇ーアメリカ文学界の異才ポール・セローの奇妙で痛快、尋常ならざるエネルギーに満ちた短編集。ライブラリーのために改訳。
「詩を書く生活」を取り戻した手放しの幸福、悲しみの残響、忍び寄る死の影-鋭く、新鮮、切実にして純粋。危ういほどに研ぎ澄まされた、結晶的な詩世界。『水と水とが出会うところ』と『ウルトラマリン』、二冊の詩集の訳者解説を収録。
それは『グレート・ギャツビー』翻訳への長い旅の始まりでもあった-生地セント・ポールから魂の眠るロックヴィルまで、ゆかりの各地を訪ねる紀行のほか、類い稀なヴァイタリティーでスコットを翻弄した妻ゼルダの伝記など全八篇のエッセイと、村上訳の二短篇、ライブラリー版のための新訳エッセイも収録。
初めて出会ったカーヴァー作品として、訳者を心酔させた「足もとに流れる深い川」ほか、大幅改変を経てより成熟したロング・ヴァージョン三篇を含む七短篇、カーヴァーの詩の世界への格好の招待状となる数々の詩、そして作家としての来し方を記す秀逸なエッセイー多彩な魅力を凝縮する自選作品集。
表題作に加え、「ぼくが電話をかけている場所」「ささやかだけれど、役にたつこと」ほか、一級の文学としての深みと品位をそなえた、粒ぞろいの名篇を収録。成熟期の風格漂う、レイモンド・カーヴァー最高の短篇集。ライブラリー版刊行にあたり全面改訳。
人生の混乱から脱し、作家としての名声を得、詩作に還った平穏な日々。そこにはしかし、打ち消しがたい死の予感があった…。喪失感、温かなユーモア、深い愛情、崩落の予兆ー短篇小説の核を成す、詩人カーヴァーの心象風景を映し出し、その円熟期の到来を告げる詩集。
村上春樹が人生で巡り会った、最も大切な小説を、あなたに。新しい翻訳で二十一世紀に鮮やかに甦る、哀しくも美しい、ひと夏の物語ー。読書家として夢中になり、小説家として目標のひとつとしてきたフィッツジェラルドの傑作に、翻訳家として挑む、構想二十年、満を持しての訳業。
ギャツビーのかなわなかった夢、そしてギャツビーには思いもよらなかった幻滅ーフィッツジェラルド神話の“検証”にして『グレート・ギャツビー』へのオマージュ。哀しみと、華やぎと、遊び心に満ちた六〇年代の恋愛物語、待望の復刊。
アグレッシヴな小説作法とミステリアスなタイトリングで、作家カーヴァーの文学的アイデンティティを深く刻印する本書は、八〇年代アメリカ文学にカルト的ともいえる影響を及ぼした。転換期の生々しい息づかいを伝える、鮮やかにして大胆な短篇集。
優しさと、傲慢さと、抗いがたい自己破壊への欲望。一九二〇年代の寵児の魅力を余すところなく伝え、翻訳者・村上春樹の出発点ともなった作品集をライブラリーのために改訳。『哀しみの孔雀』のもうひとつのエンディング、「ニューヨーク・ポスト」紙のインタヴューを新収録。
カーヴァーの創作をめぐる“文学的事件”、ティム・オブライエンのエッセイと短篇、アーヴィングのインタビュー…出会った作家たちとエピソードを交えてつづる訳者覚書きとともに、新聞・雑誌記事からアメリカ文学界を読む。訳者による最新エッセイも収録。
最初の数行でその世界は完璧に提示される-。絶望のなかに漂うおかしみ、名状しがたい人生への不安とささやかな温もり。全米図書賞候補作となった処女短篇集より、表題作を含む九篇に、訳者による作品解説を付す。
不思議な話、せつない話、心がほんのり暖かくなる話-村上春樹が選んだ、誕生日をめぐる十三の物語。訳者による書き下ろし短篇「バースデイ・ガール」、ライブラリー版のために訳された二篇を収録。あなたのお気に入りのバースデイをみつけて下さい。
確立されたスタイルと、全くのオリジナリティをもって、鋭く重く、既成の文学シーンに切り込んだ稀有の作家レイモンド・カーヴァー。確かな才能を明示する、そのデビュー短篇集から十三篇を収録。
「ぜったいに、何があっても、犬を庭園に入れてはいけません。引退した魔術師ガサツィ。」と書かれた庭園に犬が駆け込んでしまった。ふしぎな庭で少年が体験したできごと。1980年度コルデコット賞銀賞、ニューヨークタイムズ最優秀絵本賞受賞作品。
サンタを待つ少年のもとにあらわれたのは、白い蒸気につつまれた謎めいた汽車。その名はー急行「北極号」。クリスマス前夜のミステリー。1986年度コルデコット賞受賞。
女王さまのため、きらめくクリスタル求め、アリたちは長く危険な旅へ。ところが、そんなアリたちのなかに、2ひきの、いけないアリが!クリスタルの山に魅せられた「いけないアリ」がくりひろげるシュールな大冒険。
多崎つくるは鉄道の駅をつくっている。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。理由も告げられずに。死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時何が起きたのか探り始めるのだった。
村上春樹氏の新刊タイトルにも使われた、話題の本に登場する隠れたクラシック名曲がベストセラーに!! 村上春樹氏の新刊『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。 「巡礼の年」は、リストのピアノ大曲のタイトルと同じだということは、クラシックに詳しい人ならピンとくるでしょう。 果たして小説の中にはそ…
リスト:巡礼の年・第2年「イタリア」/アルフレッド・ブレンデル 1986年デジタル録音 ※ブレンデル自身の曲目解説掲載 現代を代表する名ピアニスト、ブレンデルは、リストの作品の中でもとりわけ〈巡礼の年〉に愛着を持っています。 リストがジュネーヴからアルプス地方に旅行した際に得た印象を、ブレンデル…
リスト:巡礼の年・第1年「スイス」/アルフレッド・ブレンデル 1986年デジタル録音 ※ブレンデル自身の曲目解説掲載 現代を代表する名ピアニスト、ブレンデルが、リストの作品の中でも最も愛着を持っているのが〈巡礼の年〉です。 この「第2年:イタリア」は再録音。ブレンデルはこの作品に息づいているロマ…
ブレンデルのリストは、その外面的な華麗さ、技巧的な誇示を払拭し、その眼差しはひたすら内面的な世界へ向けられ音楽の詩人リストの実像に肉迫します。 リストの代表作のひとつであるこの「イタリア」においても、内面の緊張感を維持させながら、それぞれの作品の特質を、豊かな詩情をたたえて描き上げ、聴き手の心を打…
同時期の録音をCDでも発表している、ブレンデル得意のリスト。きわめてロマン主義的な作品ながら、一本筋の通った洗練された演奏を繰り広げている。自らが1曲ごとに解説を行なっているのも興味深い。
生きる希望をくれたのは、死んだはずの息子でした。 ハワイに佇む美しき湾・ハナレイ・ベイで死んだ息子と、10年間向き合い続ける女性サチ。 これは、<人生で一番大切な人>に会いたくなる希望の物語
生きる希望をくれたのは、死んだはずの息子でした。 ハワイに佇む美しき湾・ハナレイ・ベイで死んだ息子と、10年間向き合い続ける女性サチ。 これは、<人生で一番大切な人>に会いたくなる希望の物語
親友との再会、女の子とのアバンチュールなど、海辺の町に帰省した大学生が体験するひと夏の物語。村上春樹のデビュー作を、中学の同窓生である映画監督・大森一樹が繊細に映画化した81年の作品。
事故死した妻が遺した大量の服を前に、イラストレイターのトニー滝谷はアシスタントとして雇った女性にその服を着せる。村上春樹の短編小説をヴィヴィッドに映像化。イッセー尾形と宮沢りえの共演が魅力。
村上春樹の同タイトルの短編小説をアメリカで映画化した、記念すべき村上春樹作品初の逆輸入映画。一語一語が様々な画をイメージさせる村上春樹作品を映像化するという難しいチャレンジを、劇場用長編映画デビュー作として新鋭監督・ロバート・ログバルが見事に成し遂げた。