2013/04/23掲載
間もなく公開される映画『旅立ちの島唄〜十五の春〜』。南西諸島にあって、歴史と文化風土、いずれもがきわだって独特な“離島”、南大東島を舞台に、故郷からの旅立ちを控えた少女の成長を追ったヒューマン・ドラマだが、そのエンディング、フェリーが島を離れる場面で流れる主題歌が、BEGINの最新シングルでもある「春にゴンドラ」だ。
フェリーに乗客や荷物を運ぶ吊り上げ式の“ゴンドラ”が紡ぎだす旅立ちの場面を綴った歌詞が、アイリッシュ・トラッド風味をほんのりたたえた曲調とあいまって、たゆたうような情感を広げるこの曲、じつは昨年リリースされたフル・アルバム『トロピカルフーズ』と、同時進行する格好でレコーディングされた曲だそうだ。

「『トロピカル〜』を作るにあたって、デビュー当時ハマってた音楽を聴き返すのが、バンド内ブームだったんです。アイリッシュやハワイアン、ニューオーリンズとか。アルバムに収録した〈グッドナイト・アイリーン〉は、やっぱりチーフタンズのヴァージョンが最高だね、とか」(上地 等/key)
「そこに南大東島に対して、(気候が温和な)石垣島育ちの僕らが抱いている、崖に囲まれた、自然環境が厳しい島、というイメージが重なった。なんとなくアイルランドとダブるんです。〈春にゴンドラ〉に関しては、アイリッシュぽくしたいな、という話は、当初からしてたよね」(島袋 優/g)
「一方で“ゴンドラ”という言葉には、懐かしい響きもある。古い歌謡曲の〈ゴンドラの唄〉じゃないですけど。若い聴き手には新鮮な言葉、年配の方には耳馴染みがある。両方の意味合いが感じられる言葉であり、歌になったらいいなあ、という思いもあったんです」(比嘉栄昇/vo)
かといってアイリッシュ一辺倒になるのではなく、「島の横笛をフィーチャーしてもいるんです」(島袋)。柔和なミクスチャーぶりが、生まれ育った八重山の民謡と、ロックやポップス、ブルースに加え、喜納昌吉や照屋林賢、(70年代の)細野晴臣まで、多彩な音楽からの影響を吸収。その上で彼らならではの“みんなで歌えるポップ・ソング”の数々へと昇華してきた、この3人らしい。
「本格志向をつきつめるというより、大好きな先輩たちの音楽への尊敬の念を、ちょっと遠慮がちに自分たちの曲に投影している(笑)。ある種の“距離感”が僕たち流というか」(比嘉)
「デヴィッド・リンドレーやライ・クーダーの音楽にも、そういうところがありますよね。ずばり“本場”というより、国境沿い。さまざまな音楽が混ざり合ってる感じに、ふと気がついたら僕らも惹かれていたし、音楽もそうなっていた」(上地)
「たとえて言うなら、いろんな味が並んでる、屋台村の感じかな」(比嘉)
そうやって生まれてきた歌の数々を「日用品みたいに、みんなが歌ってくれる」(比嘉)。それが近年、なによりの喜びだそうだ。
「“歌”については、3人で一時、よく話し合ったもんね。“日本語の歌を追求しよう”って目標を決めて、1年間、英語の歌を歌うのをやめてみたり。重要なのは“歌”なんだ、という認識が、そういうプロセスを経て固まってきたんだと思う」(上地)
「ある意味“道具”のような歌を作りたい、と最近つくづく思うんです。畑仕事や工場からの帰り道、汗をぬぐいながらふと口ずさみたくなるような歌。そんな歌が書けたら、たとえそこに歌っている僕がいなくても最高。そう思うようになってきたんですよね」(比嘉)
取材・文 真保みゆき (CDJounal 2013年5月号より転載)












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