2016/10/31掲載
■「あらためてジャズっていいなぁと思えたの」
ノラ・ジョーンズの新作『デイ・ブレイクス』のテーマは、2002年のデビュー作『ノラ・ジョーンズ』以来のジャズへの回帰だ。ひさしぶりにギターではなく、ピアノで作曲をして、ウェイン・ショーター(ss)やドクター・ロニー・スミス(og)、ジョン・パティトゥッチ(b)といったジャズマンとレコーディング。とりわけ情感豊かに歌うようなショーターのサックスとの共演が素晴らしい。
■ノラ・ジョーンズ「ブルーノート・レーベル設立75周年のイベントで、ウェインやジョンと共演したんだけれど、リズミックに曲がどんどん展開されていく演奏にすごく刺激を受けて、あらためてジャズっていいなぁと思えたのよね」
――それが新作の動機になった。「同じことを繰り返したくない」との理由から新たな音楽に挑戦し続けて、カントリーに傾倒した時期もあるし、前作『リトル・ブロークン・ハーツ』ではゴリラズらをプロデュースしてきたデンジャー・マウスと組んだ。でも、多くのファンが望んだのはデビュー作のような作品だ。そこでレーベルが画策した。今では本人も「イベントの音楽監督が私をその気にさせるためにウェインらとの共演を企てたのよね」と笑うが、当時新作のための作曲を始めていたが、ジャズへと方向転換された。
■ノラ・ジョーンズ「純粋にウェインらとまたジャズを演奏したいと思ったの。でも、曲作りをするなかで、ジャズのスタイルやサウンドよりも楽曲重視になっていったので、最終的にいろいろなジャンルのミックスになっている」
――デビュー作もミックスだったけれど、都会的に洗練されたジャジーなサウンドだった。それに対して新作は、カントリーを経た影響やオルガンの音色があいまって、アメリカ南部の素朴な温もりが感じられる。ノラのヴォーカルも独特の抑揚は残しつつ、声自体はまろやかになった。これも2児の母になった影響だろうか。
収録曲のうち8曲が共作を含む自作曲だ。
■ノラ・ジョーンズ
「作曲のインスピレーションほど不思議なものはない。どこから生まれてくるのかわからないけれど、浮かんだら即座に捕まえて、カタチにしないと逃げられてしまう。だから、キッチンにも小さなピアノが置いてあるの。家事の合間に鍵盤に触れると、アイディアが浮かんでくることもある。1stシングル〈キャリー・オン〉も深夜のキッチンで書いた曲。これまでピアノを封印して、あえて下手なギターで作曲してきたのは、ピアノだと自分のクセがあって、無意識のうちに同じようなメロディを紡いでしまうからなの。でも、今回は思う存分ピアノを弾いたわ」
――オリジナル楽曲以外にニール・ヤングの「ドント・ビー・ディナイド」、ホレス・シルヴァーの「ピース」、デューク・エリントンの「アフリカの花」をカヴァーしている。
デビュー作でグラミー賞の主要4部門を独占した。その成功を意識することはあるのだろうか。
■ノラ・ジョーンズ
「私はやるべきことをやった。今はそういう気持ちだし、音楽業界の構造自体が変わったから、過去の成功を意識することはない。みんなが気に入ってくれたら、それで満足よ」
取材・文 服部のり子 CDジャーナル 2016年11月号掲載












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