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昨年末に9期メンバーの鞘師里保さんが卒業し、新たな体制でスタートをきったモーニング娘。’16。
不動のエースが卒業したことで、メンバーそれぞれがグループと向き合う心境も大きく変化せざるをえない中、2月には同じく9期メンバーである鈴木香音さんが、「福祉の仕事につくための勉強のため」5月30日の春ツアー最終日での卒業を発表しました。
そんな激動の中にいる彼女たちですが、ハロー!プロジェクト全体でも新曲ラッシュが続く中、満を持して’16最初のトリプルA面シングルが登場です。
3月に行われたハロー!プロジェクト所属ユニット大集合のイベント「ひなフェス2016」でも披露されたのは、けたたましく鳴り響くハーモニックマイナースケールのギターフレーズが印象的な『Tokyoという片隅』。歌のメロディはウェットな歌謡曲ですが、ハードロックとEDMの激しい部分を敢えてぶつけ合わせたようなビートと、曼荼羅を描くようなフォーメーションのダンスに圧倒される強烈な楽曲です。こういう突き抜けた曲はつんく♂さんでなければあり得ないし、モーニング娘。だからこそ成立するようにも思えます。こんな異物感ある音楽を日本のポップミュージック界のど真ん中で鳴らしているって、本当にとんでもないことです。
また、不器用でいいから勇気を持って、自分を信じて突き進めというつんく♂さんの一貫したメッセージはこの曲からも強く伝わってきます。
『The Vision』は、モーニング娘。’14時代の大名曲『時空を超え 宇宙を超え』を思い出させるEDMバラード。
卒業して新たな夢に向かおうとしている鈴木香音さんにとって、モーニング娘。として過ごした時間は絶対意味のないものにならない。だから先の人生も頑張ってほしい。そして残されるモーニング娘。のメンバーも、ちゃんと自分だけの夢や目標を描いて、そのために今を努力していますか?という、優しさも厳しさも含んだつんく♂さんからの力強いエールです。
『時空を超え 宇宙を超え』もそうでしたが、この曲もゆったりしたミディアムバラード風ながら、ビート感は細かく、つんく♂さんのリズムへの強いこだわりを感じます。その上でダンスはクラシックバレエの要素もあり、流れるような動きを用いた優美な仕上がり。特に譜久村聖さん、生田衣梨奈さん、石田亜佑美さんの3人は歌唱に加わらず、ダンスに徹する布陣となっているのが特長です。
そして注目のもう一曲『泡沫サタデーナイト』は、モーニング娘。としては珍しい、つんく♂さんではない外部作家曲。若手ガールズバンド「赤い公園」の津野米咲さんの作詞作曲です。
個人的な話ですが、筆者は赤い公園がまだ立川で活動している頃(2010年)から仕事で関わったりしているもので、メジャーデビューからSMAPへの楽曲提供など、赤い公園と津野さんの活躍はずっと見守ってきたのですが、まさかここでモーニング娘。に楽曲提供ということになろうとは。
ハロプロファンであり、つんく♂さんの影響を公言している津野さんにとってこの仕事は、こぶしファクトリーへ楽曲提供したヒャダインさん同様、元々ハロプロが大好きだからこそ、相当慎重にならざるを得ないまさに「事件」だったと思います。
それがふたを開けてみると…踊れるハロプロマナーファンクの傑作じゃありませんか!
雑誌の対談で、ハロプロの音楽制作を統括している橋本慎さんが語られていますが、この曲に描かれている「世の中に対してシニカルな目線を持っているけど、最後は踊っちゃえ」というメッセージは、最近のEDMから離れた土着的なディスコファンクなサウンドも相まって『LOVEマシーン』時代のモーニング娘。を感じさせ、今のモーニング娘。は知らないという人たちにも、「ああ、モーニング娘。ってこんな感じだったな」という懐かしい感触を与えてくれそうな雰囲気があります。
長い歴史の中、いろんなモーニング娘。があったけど、時代は巡り、またこういう老若男女まとめて無条件に踊らせてくれるモーニング娘。が登場しました。
そしてこれを、つんく♂遺伝子を継承した若い才能が作っていることも、続いてゆく明るい未来を示しているかのように感じました。変化を恐れず、歴史に学ぶ。実にモーニング娘。らしいなと。
また、MVの中にはDJズッキ(鈴木香音)が登場。
ラストサビ前の間奏のマイクパフォーマンスは、底抜けに明るかった鈴木香音さんそのもので、彼女のモーニング娘。人生のラストを明るく送り出せそうです。
春ツアー真っ最中のモーニング娘。’16。
新曲も続々披露しているようなので、この機会にライブで体感してみてはいかがでしょうか。
モーニング娘。'16『Tokyoという片隅』(Morning Musume。'16[In a corner of a city called Tokyo]) (Promotion Edit)
| 4/29(金) | 盛岡市民文化ホール (岩手) |
|---|---|
| 4/30(土) | 仙台サンプラザホール (宮城) |
| 5/3(火) | ニトリ文化ホール (北海道) |
| 5/7(土) | 岡山市民会館 (岡山) |
| 5/8(日) | 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール (愛知) |
| 5/15(日) | 結城市民文化センター アクロス (茨城) |
| 5/21(土) 5/22(日) |
NHK大阪ホール (大阪) |
| 5/28(土) | アイプラザ豊橋(旧豊橋勤労福祉会館) (愛知) |
| 5/31(火) | 日本武道館 (東京) 鈴木香音卒業スペシャル |
コラム記事:劔樹人