3期生初公演『3人のプリンシパル』総括

昨年9月に加入した乃木坂46 3期生の12人が、2月2日から12日にかけて東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoにて初公演『3人のプリンシパル』に出演しました。
『3人のプリンシパル』乃木坂46の1期生、2期生が過去三度にわたり挑戦してきた舞台『16人のプリンシパル』を新たな解釈で再構築したもの。全二幕から構成される“キャスティング参加型演劇”で、まず第一幕で参加メンバーの公開オーディションを実施。観客はさまざまなオーディション項目を通じて、どのメンバーがどの役にふさわしいかを幕間に投票していきます。その結果を即時発表し、当日の第二幕に出演するキャストが決定。今回の舞台はそのタイトルからもわかるように、第二幕に出演するのは12人のうちたった3人。メンバーは全配役のセリフを稽古中にマスターしておく必要が生じます。彼女たちはこの3役をダンス審査、自己PR、エチュード(即興演技)、演技審査の4項目で連日競い合いました。
3期生にとっては昨年12月に日本武道館で行われた『お見立て会』以来のステージ、しかも今回は11日間に計15公演を連日行うという過酷なもの。演技への初挑戦ということもあり、開幕初日の日中に行われた記者会見および公開リハーサルでは緊張した表情を浮かべるメンバーの姿が印象に残りました。
記者会見では3期生12人はそれぞれ、初舞台で苦労した点、『3人のプリンシパル』への意気込みを語りました。

伊藤理々杏
稽古では初めてのお芝居でとっても苦労したんですが、日に日にやるごとにお芝居をするのが好きになって、今では早く舞台に立ちたいなと思っています。今回3期生として初めて舞台に立たせていただくので、3期生の魅力がたくさんお客様に伝わるような、そんな舞台にしたいです。

岩本蓮加
私は感情を込めてセリフを言うのがとても苦手だけど、声の私は感情を込めてセリフを言うのがとても苦手だけど、声の大きさは褒められて。そこをうまく生かしながら、感情をどう込めるかというのが難しかったです。最年少だけど諦めずに、今までお稽古で練習してきた成果を発揮できたらいいなと思います。

梅澤美波
自分らしい個性を演じるキャラクターに乗せて演じることが難しかったのと、表情をつけて歌ったりセリフを言ったりすることに苦戦しました。最後の公演を迎えたときに、今までの自分とは違った自分になっていたい。そして、応援してくださる方のために絶対に舞台に立ちたちです。頑張ります。

大園桃子
(涙を流しながら)私は覚えるのが苦手なので、台本を覚えるのもダンスを覚えるのも難しかったです。舞台上で絶対に泣かないように頑張ります。

久保史緒里
お稽古の中で私が一番苦戦したことが、個性を見つけること。まだ、ずば抜けて何かひとつできることがなくて、すごく悩んだ時期もあったんですけど、それを踏まえてこの公演を通して自分の個性を見つけられたらいいなと思ってます。今回ありがたいことに3期生単独でこういう素敵な舞台を用意していただいたので、この機会を無駄にせず1回1回を大切に、3期生の存在を多くの方に知っていただけるように頑張ります。

阪口珠美
私は歌が苦手で、プリンシパルのお稽古が始まるまではずっと歌から逃げてたんですけど、お稽古では苦手な歌からも逃げずに、人より努力しようと意識していました。今は自分に自信がないので、公演が終わった頃には自分に自信を持って、堂々とステージに立てるようになりたいです。

佐藤楓
私はまず人前に立つことが緊張するところから始まったので、その緊張を振り切ってお芝居することと、周りがどんどん個性を出して上手になっていってるなかで、自分らしさを見つけることが大変でした。今回は初めての舞台ということで、3期生全員で最後まで成功させて、私自身は最後まで絶対に諦めずに自分らしく頑張りたいです。

中村麗乃
大変だったことというよりは思い出なんですけど、ある役の演技をやらせてもらったときに、勢い余って壁に突進して怪我をしてしまったことがあって。今回第二幕に出られたら、まずは壁にぶつからないように頑張りたいです。3期生12人みんなで素晴らしい舞台を作れるように頑張ります。

向井葉月
私は稽古の最初の頃からずっと、会話をする演技や動きが雑と言われてきて。その雑さはなかなか直らなかったんですけど、感情をあらわにするところはうまいと言っていただけたので、そこでうまくフォローできるように頑張ります。あとは本気でやること、ケータリングのお菓子を食べすぎないようにします。

山下美月
私はすごく歌が苦手で。劇中では歌いながらお芝居をするシーンが何箇所かあるんですけど、感情を込めながら歌うことにとても苦戦しました。3期生は12人それぞれ個性がバラバラで、本当に1人ひとり面白い魅力を持った子の集まり。自分にはまだ個性といえるものはないんですけど、この公演の中でファンの皆さんに私のキャラの見つけていただけたら嬉しいなと思います。

吉田綾乃クリスティー
私は今回が初めてのお芝居、しかも男の子の役で。仕草やしゃべり方が女の子っぽいって常に言われてきたので、そこをどう男の子っぽく見せるかですごく苦労しました。最初は不安や緊張がすごくあったんですけど、今は楽しみな気持ちもあるので自分なりに、そして12人全員で頑張っていきたいです。

与田祐希
私は歌もダンスもセリフも覚えることが苦手で。稽古では覚えることがすごく多くてすごく苦戦したんですけど、一生懸命覚えたので、本番で間違えないように頑張ります。プリンシパルでの目標は、最後まで諦めないこと、自分に負けないこと、強くなることです。自分らしく精一杯頑張ります。
そしてスタートした『3人のプリンシパル』。第一幕は「君の名は希望」「左胸の勇気」「きっかけ」といった乃木坂46の楽曲を交えつつ、オーディションが進んでいきます。その審査方法も過去3回の『16人のプリンシパル』をブラッシュアップしたような内容で、単なる人気投票で終わらないよう、さまざまな方法で3期生12人の魅力が浮き上がるような手法が取られていました。
中でもメンバーが連日、もっとも苦労したのが自己PR。これは最初の『16人のプリンシパル』(2012年上演)で1期生も苦労した項目で、メンバーは公演ごとにアピール内容を変えることで観客に自分を印象づけなければなりません。3期生は歌を歌ったり、自身のことをトークで伝えたり、独特の画力でイラストを描いたり、部活などで鍛えた一芸を披露したりと日々奮闘を繰り返します。特に初の土日公演を終えた2月6日以降、メンバーによってはネタ切れに苦労したようですが、過去の自己PR内容を合わせるなどして最後まで乗り越えました。

また、その場でお題を与えられ規定時間内で物語に起承転結をつけるエチュードでは3人1組に分けられ、わちゃわちゃしながらも個性的なストーリーが展開されていきます。最初こそお題やメンバーの組み合わせが物語の盛り上がりを左右することもあり、口数が少なく、自分の色を出せないままエチュードを終えるメンバーもいました。しかし、プリンシパル期間中盤以降は自分の殻を破ったメンバーが増えたことで、振り切れた演技で爆笑の連発。千秋幕ではどの組も笑いの絶えない、個性的なエチュードを目にすることができました。特に最年少ならではの奔放さで物語をかき乱した岩本、持ち前の明るいキャラクターとダイナミックな動きを存分に発揮させた向井、いつのまにか「ボンボンボンボン~」と胸を叩きながら動くゴリラのモノマネを習得した大園、チャラいイケメンから魔性の女、小柄なライオン、果ては花火まで数々の個性役を率先して演じた与田、清楚さから破天荒さまで振れ幅の広い演技で観る者の目を惹きつけた久保などは、エチュードで観客の印象に残ったメンバーかもしれません。
そして演技審査では、連日各メンバーがその日演じたい役柄に立候補していきます。今回の第二幕では本公演用にアレンジされた宮沢賢治『銀河鉄道の夜』が用意され、そこでジョバンニ、カムパネルラ、サソリの3役に立候補。当然メンバー間で打ち合わせなしで各自李候補するため、公演によっては立候補者が1人しかいない役、同時に6人も立候補する役などがありました。

この演技審査では立候補した役のセリフをその場で2回読み上げるのですが、1回目は通常の形で、2回目は指定されたシチュエーションで演じることになります。その2回目は「舞台全体を大きく使って演技」「猛吹雪の中か炎天下」「天国か地獄」「3歳か83歳」「優等生かヤンキー」「ヒーローかヒロイン」と、公演を重ねるごとに変化。メンバーは最初こそぎこちなさを見せていましたが、日々成長を続ける彼女たちのこと、公演後半になると独自のアドリブも加えられるようになり、真剣なオーディションの場に笑いが起こることもしばしばありました。
演技審査を終えると、彼女たちはそれぞれ各役に対する思いを吐露していきます。ここでは力強く役に対する思い入れを語るメンバー、たどたどしくも自身の思いを正直に伝えようとするメンバー、涙で声にならないところを必死に言葉を絞りだそうとするメンバーとさまざま。立候補者が発表されたときに演技力の高いメンバーや第二幕への出演率が高いメンバーと一緒になったときは泣き崩れるも、いざ演技審査に入ると豹変したかのように堂々とした演技を見せ、最後の挨拶では再び涙ながらに思いを口にするメンバーもおり、いかに彼女たちが連日追い詰められた環境の中でプリンシパルと向き合っていたかが伺えました。
そんな状況だけに、3期生は満身創痍ながらも公演と格闘します。ときには体調を崩すメンバーもおり、中村は5日夜公演を欠席。梅澤はインフルエンザに感染したことで、11日以降の4公演をすべて欠席する事態に。それでも残されたメンバーは常に「12人で一丸となって挑む」という心積もりで舞台に立ち、ときには「12人で最後まで駆け抜けます」と力強く宣言しました。

こうしてオーディションを終えたメンバーは観客による投票結果を待ち、改めて舞台に戻った際には早くも審査結果が発表されることになります。そして選ばれた3人はすぐに第二幕の準備に入り、数分のうちに『銀河鉄道の夜』がスタート。車掌役の酒井敏也さん、鳥捕り役の大高洋夫さん、少女の母親役の柿丸美智恵さんと約40分にわたる舞台を作り上げていきます。ここでもメンバーの組み合わせによって物語の雰囲気が変化し、演技の間合いもまちまち。役の組み合わせは1320通り存在しますが、15公演中まったく同じ配役の公演が2度(2月2日と9日)あったのは興味深いところです。そんな日々変化する第二幕ですが、結果その組み合わせの妙が味となり、同じ物語なのに連日違う作品を観ることとなりました。
この第二幕でも出演を重ねるごとに成長を見せるメンバーの姿を目にすることができました。初日から第二幕に出演していた久保と山下が数多くの役を演じながら、着実に個性や存在感を強めていくなか、最初こそ演技に不安要素が見られた与田は初めて第二幕に出演したことで自信を持ち、以降の第一幕、第二幕では堂々と演じる姿が見受けられました。その他にも梅澤や佐藤、向井などといったメンバーも第二幕初出演後は明らかに心境の変化が見られ、日々成長していることが伺えました。

第三幕となるミニライブは2パターン用意されており、「ぐるぐるカーテン」「おいでシャンプー」「走れ!Bicycle」の日と「命は美しい」「裸足でSummer」「ガールズルール」の日が存在。それぞれフレッシュなパフォーマンスで来場者を楽しませてくれました。
そして12日夜の千秋楽では、最後の最後にメンバーが1人ずつ観客に向けてメッセージを送ります。ここでは多くのメンバーが「プリンシパルという坂を12人で乗り越えることができたのは、ファンの皆さんがいたから。早く先輩たちに追いつけるよう、12人で坂を駆け上っていきたいと思います」と“12人”というチーム感を非常に大切にしていることが伺え、改めて彼女たちの絆を強く感じました。

もはや乃木坂46の一員としての通過儀礼的イベントと呼べるプリンシパル公演。この11日間を乗り越えたことで、彼女たちは本当の意味で乃木坂46の一員になれたのかもしれません。今後も彼女たちの前にはさまざまな壁が待ち構えていると思いますが、千秋楽で見せた笑顔を見たら、それもきっと全員一丸となって乗り越えてくれるはずだ……そう思わずにはいられませんでした。もしかしたら乃木坂46は、未来へとつながる最強の武器を手に入れたのかもしれません。それが形となって表れるにはもうちょっと時間が必要かと思いますが、きっと半年後、1年後には何らかの結果が出ていることでしょう。今後も3期生、そして乃木坂46の活躍から目が離せそうにありませんね。

- 3月22日発売 「タイトル未定」
- 待望の17thシングル!
文:西廣智一 WEBを中心に活動する音楽ライター。バンドマン、フリーター、会社員を経て、2005年末に株式会社ナターシャの立ち上げに参加する。翌2006年よりライターとしての活動を開始し、現在さまざまな音楽サイトや雑誌にてインタビューやコラムなどを執筆中。
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