2015.12.22更新
『中居正広が結婚を考える夜。』を考える夜。
いま、そこで、関係性を、作り出すこと
まあね、芸能人のプライベートには一切興味がないんでね、ある女優が番組内で発言したように、わたしも、中居さんが結婚しようが、しまいが、どうでもいいです、はっきり言えば。
もちろん、中居正広というひとが、イチ個人として、しあわせになってほしいとは思いますよ。でも、それは中居さんだけじゃなくて、あらゆるひとに対して思うことだし、これは、番組の、表向きのテーマらしきことにもかかわってくることですけど、そのひとが、結婚することによって、しあわせになるかどうかなんて、だれにもわからないじゃないですか。結婚=しあわせ、みたいなイメージは、あくまでも、結婚という「商品」の、最大公約数的な「売り」であって、そのイメージもろとももぎ取って、林檎を頬張るようにガブリとやるかどうかは、それこそ、自己責任なんですから。だれも責任とってくれないよ。結婚っていう林檎、ぜんぜん甘くないじゃん、酸っぱいだけじゃん、しかも、芯のほう、腐ってんよ、これ、とかっていうことになったとしても、選んだ林檎が悪かったとか、皮の剥き方が悪かった、いやいや、そもそも皮なんて剥かないほうが良かったんだとか、そんなことを言われちゃうわけじゃないですか。結婚=しあわせ、の保証書なんて、だれもつけてはくれないわけですよ。
ですからね、わたしが言いたいのは、この番組は、まず、編集がいいということと、編集がいいということは、つまり、編集しやすいように、中居さんが進行していた、っていうことなんですよね。
いや、これは前もお話したと思いますけど、編集がいい番組って、たぶん、間違いなくMCがいいんですよ。録画の番組と、生放送の番組とでは、きっと、MCのカンドコロもまるで違うと思うんですけど、録画の番組の場合は、おそらく、どれだけ「使える」瞬間を生み出すか、っていうことなんじゃないですかね。いや、もちろん、生放送の番組のときも、どれだけ「使える」瞬間を生み出すか、はもちろん、大事なところだとは思うんですけどね、編集が前提としてある番組のほうが、より、その意識は必要になってくるというか、もっと言えば、MCとしての才能は、より、発揮されるんじゃないのかな。中居さんぐらいのベテランになると、もはや、そんなことはないとは思いますけど、生放送の番組の場合は、番組を番組として成立させるために、あらゆることをおこなうんだと思うんですよ。観てる側も、ある種の緊張感を持って観ているし、それとも相まって、MCは成立したり、しなかったりするものだとは思いますけど。
録画の番組って、よりMCの力量が問われるっていうのかな、ゲストならゲストの「使える」発言を生み出す精度が、クリアに浮き彫りになると思うんですよね。
えっとですね、「80歳でSMAPやってられないよ」というゲストの発言がありました。あれはですね、中居さんが作り出した「環境」によって生み出されたものだという気がしてならないんですね。より正確に言えば、それを言ってもいいんだ、いや、そう言ったほうがいいんだ、と思わせる「説得力」みたいなものが中居さんにはあって、結果、ゲストのああいう発言が生まれた。引き出した、というのとはちょっと違うんですね。引き出すっていうのは、まだまだビギナーで、中居さんぐらいになると、生まれちゃった、ぐらいの「環境」づくりっていうんですかね、まあ、ようするに、無理矢理感がないのね。引き出すっていうのは、無理矢理感があるわけ。強制力が働いてる、っていうか。それにしても、80歳のSMAP、見たいよね、そのとき、4人はまだ独身なんだろうか、もし、そうだとして、わたしたちはどんな想いで、80歳のSMAPを見つめているだろうか、そんなことすら、つい考えてしまいましたね、わたしは。
中居正広のMC力は、桃井かおりさんのパートで、いよいよ如実に発揮されていました。あれはすごかった。桃井さんは非常に饒舌な方なので、たぶん、相当の時間、カメラはまわったと思いますよ。膨大なことばの数々が、あのように編集されているわけですが、もうね、その最中、中居さんには編集ポイントがはっきり見えていたと思いますね。じゃないと、あの安定感はないんじゃないかな。
あれは、インタビューではないんですね。また、対談でもない。インタビューというには親密で、しかし、対談と呼ぶには、中居さんの発言量が控え目なんですね。
いきなり、結論めいたことを言いますけど、インタビューにしても、対談にしても、こういうインタビューでも対談でもないものにしても、結局、しなければいけないことは、「関係性を生み出す」ということなんですね。もっと言えば、「目に見えるかたちで作り出す」ことなんです。この「関係性」によって、わたしたちは安心するわけです。安心して、ことばを「受け取る」ことができるようになるんです。
もちろん、桃井さんと中居さんの、素の関係性というものは存在するでしょう。ですが、そういう関係性が、テレビに、そのまま「映る」なんてことはないんですね。というか、プロフェッショナルであれば、そういう「オフ」をさらしものになんて、絶対しないはずなんです。そもそも、テレビは「オン」の世界ですから。
関係性っていうのは、いま、そこで「作り出す」ものなんですよ。
そこが、中居さんは優れている。
桃井さんは「SMAPはダメにならなかったもんね」としみじみ言うわけですが、あれは、中居さんが、いま、そこで「作り出した」関係性によって生まれたものなんです。
関係性っていうのは、あらかじめあって、反復されるものではなく、いま、そこで「作り出された」、生まれたてのものである。ここ、試験に出ますからね。よーく、おぼえておいてください。
本日は以上になります。ではまた来週、お会いしましょう。
相田冬二※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。