2016.8.16更新
『家族ノカタチ』ディレクターズカット版を観る。
わたしたちのウカンムリ
アルバム『SMAP AID』に収録されている「ありがとう」を何度も何度も繰り返し聴いている。まるで自分の細胞がこの曲の一部になったような錯覚に陥る。生まれたてのメッセージ。いまこそ輝きはじめる言霊と音像の粒たち。わたしたちははたして強くなれているのだろうか。なれていない。だから「ありがとう」を聴く。強くなるために。
そんな夏に『家族ノカタチ』のDVD-BOXが届いた。
第1、2、5、最終話は未公開映像を加えたディレクターズカット版!
グリーンの帯にはそう記されている。
いてもたってもいられず、まず、最終話を観た。
大介(香取慎吾)の大切なロフトスペースに、陽三(西田敏行)が上がり込み、父子でベルギーのフルーツビールを飲むシーンが、まるで違って見えた。
最高級のロゼシャンパーニュのように映る、フルーツビールのその色は、陽三が羽織っていたカーディガンのカラーにそっとシンクロしていて、ハッとした。
あのひとがくれたものを忘れない。
ふと、「ありがとう」の一節がよみがえる。
その日、陽三が、その色のカーディガンを着ていたことに、感謝した。
きっと、無意識だろうけど、大介が、あの色のフルーツビールを選択したことに、感謝した。
一期一会。
この回は、タイトルが出るタイミングも素晴らしかったのだが、なぜ、このドラマが、ウカンムリをアイコンのように用いてきたかが、この場面を目撃することで、理屈じゃない部分で、感覚的に理解できた。
あのシーンの最後、大介の横顔を見つめながら、葉菜子(上野樹里)に似ているな、と思った。
ふたりは、もともと似ていたのか、それとも、ともに同じ時間を過ごすことで似てきたのか。わからない。わからないけど、ふたりは、どちらも、髪を染めている。葉菜子のほうがグッと明るい栗色だけど、ふたりとも、ブラウン系。同族に思える。
髪だけじゃない。顔が、表情が、似ていると思った。そのことに、ふたりが一緒にいる場面ではなく、大介が陽三と一緒にいるシーンで気づかせてくれたことに、このドラマの力があると思った。
家族って、もともと似ているのか、それとも、ある期間、ともに同じ時間を過ごしたから似てくるのか、そのあたりのことはよくわからないけど、どっちでもいいし、どうでもいいと思った。
家族の一部分でしかない、ウカンムリ。
家の一部分でしかない、ウカンムリ。
だけど、それが、それこそが、大きな存在なんだ。
わけもなく、ひとは、さみしくなるけど、ひとりぼっちではないんだ。
わたしたちには、ウカンムリがある。
こわがらずに、いまを、強く、生きていこう。
ありがとう、『家族ノカタチ』。
相田冬ニ
※このコラムは、楽天ブックスのオリジナル企画です。
※「Map of Smap」は、次回8月24日より毎週水曜更新に変更となります。