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1974年10月生まれ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』で作家デビュー。同書は「ベストSF2007」「ゼロ年代SFベスト」第1位に輝いた。2008年、人気ゲームのノベライズ『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』に続き、オリジナル長篇第2作となる『ハーモニー』を刊行。第30回日本SF大賞のほか、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門を受賞。2009年3月没。享年34歳。2011年、英訳版『ハーモニー』で、フィリップ・K・ディック賞を受賞した。オリジナル長篇第3作となるはずだった『屍者の帝国』は、盟友・円城塔によって書き継がれ、2012年に共著として刊行された。
2014年、伊藤計劃作品のアニメ化「Project Itoh」が発足。2015年10月に『屍者の帝国』、11月に『ハーモニー』が公開された。また先日、『虐殺器官』についても新体制での制作継続が発表された。公開を楽しみに待ちたい。
通常価格:617円 →半額価格:309円
■早川書房電子書籍担当者からの、おすすめポイント
最初に本書を手にとったとき、「虐殺を引き起こす器官ってなんだろう?」と考えたことをいまでも鮮やかに思い出します。その興味が読み進める動力となり、しかしそれだけにとどまらない重層的なテーマが、すっかり僕を夢中にさせました。まさしく「ゼロ年代最高のフィクション」。とはいえ、伊藤計劃作品は読み進めることが難しいわけではありません。たとえば魅力的な登場人物もたくさん登場します! 僕は煩悶を繰り返すクラヴィスにも大いに共感したわけですが、やはり虐殺の言語を操るジョン・ポールのラスボス感たるや……! 登場シーンは鳥肌が立つほど興奮しました。制作継続が発表されたアニメ映画ではどのように描かれるのだろう……そんなことを考えながら読むのも楽しいです。
通常価格:617円 →半額価格:309円
■早川書房電子書籍担当者からの、おすすめポイント
映画を観ていただいてからでも、観る前でも楽しめるはず、とまずはお断りしておきましょう。三人の少女の奇妙な、しかしとても魅力的にうつる関係性の物語、という印象からはじまって、それがいつしか人類の存亡まで繋がる大混乱へと発展していくストーリイは、本当にあっという間に読み終えてしまいます。また、不思議なリアリティをもつ未来の描写も忘れがたいです。
あと、本書ではhtml言語に着想を得た「etml言語」が一部に使われています。電子書籍というフォーマットで読むと、なにやらエラーが出てしまったかのようにも思えてしまいますが、それはあくまで仕様です。そのままお楽しみください!
通常価格:594円 →半額価格:297円
■早川書房電子書籍担当者からの、おすすめポイント
本書は伊藤計劃が遺した「フィクション」をあつめた作品集です。短篇、漫画作品、長篇冒頭と全9作が収められているのですが(しかもどれもおもしろくて優劣などつけられないのですが)、個人的におすすめしたいのは「解説」です。著者表記は「伊藤計劃&円城塔」――つまり『屍者の帝国』に先駆けて、円城塔氏との合作がなされていたわけです! ギブスン&スターリング『ディファレンス・エンジン』の上巻に収録されたこの「解説」、実際は同じ世界観を借りた短篇とでも言うべき作品。さて、どのようにしてこの合作がなされたのか? 文章の成り立ちに思いを馳せながら読むのもまたおもしろいかもしれません。
伊藤計劃は、作家デビュー前からウェブサイト、のちにははてなダイアリーで定期的に文章を書いてきました。
特に映画には造詣が深く、独自の視点で書かれた映画評は膨大な量をほこっています。また、同人誌などに発表された作品も多数存在しており、映画評の大部分は『Running Pictures 伊藤計劃映画時評集1』『Cinematrix 伊藤計劃映画時評集2』に、そしてフィクション以外の文章、インタビューについては『伊藤計劃記録』(Ⅰ・Ⅱ)にまとめられています。今回のフェアの対象作品ではありませんが、上記3作とあわせて読めば、伊藤計劃という作家の一端がよりわかるかもしれません。