◆慶応大学でマルクス経済学を専攻した落語家・立川談慶が、古典落語と立川流真打ちの知と芸を携えて『資本論』にリベンジする。古典落語の名作を枕に、また『資本論』の難解なテキストを導きの糸にして、大胆な落語的脱線・脱臼を恐れず、談慶流世界観・処世術を全開。貧困・格差拡大、コロナ禍と戦争の生きにくい世を違った目で見、苦しみをいなすための前代未聞の自己啓発書！！

佐藤優氏「資本主義社会の“カラクリ”がわかる傑作。」

【もくじ】

序章のようなまえがき　立川談志はマルクスだった!?

第1章　労働（はたらく）

　落語は「資本主義の到来」を予感していたのではないか

　労働力とは商品であるーー「素人鰻」

　労働は誰のものかーー「藪入り」

　労働は人を変えるーー「唐茄子屋政談」

　球数制限と過労死防止

　労働者諸君！--「寅さん」の爽快感

　剰余労働とはなにかーー「化物使い」

第2章　商品（モノ）

　資本主義とは商品社会ーー物象化と「孝行糖」

　物象化に抗うささやかな作法ーー「三方一両損」

　イノベーションとしての「開帳の雪隠」

　共有材＝コモンとしての落語ーー「金玉医者」

　鑑札という社会主義制度

　竹次郎はなぜ大商人になれたのかーー「ねずみ穴」

第3章　価値（ねうち）

　死せる労働ーー「船徳」

　使用価値と交換価値ーー「猫の皿」

　「千両みかん」で学ぶ限界効用逓減の法則

　掛け値しないと家族が養えないーー剰余価値と「かぼちゃ屋」

　働けばはたらくほど人間疎外ーー「妾馬」

　江戸の価値観ーー浪人・侍というブレーキ装置

第4章　貨幣（カネ）

　カネと吉本興業ーー貨幣は生まれつき金

　西野資本主義と村本社会主義

　よそう、また夢になるといけねえーー「芝浜」の貨幣論

　貨幣は自称しないーー「文七元結」

　貨幣になれ！

　カネまみれからの脱却ーー「紺屋高尾」の幸福論

　「死神」はマルクスの化身だった?！

第5章　環境（いのち）

　未来の危機を予見するーー「あたま山」

　一つ目国では二つ目は異常ーー「一眼国」

　安易な「循環」を拒否するーー「花見酒」

　対話が古い循環を変えるーー「疝気の虫」

　環境に包摂されない生き方ーー「居残り佐平次」

終章とあとがき　新型コロナはあらゆる価値観を変えてくれた

解説（的場昭弘）