内容紹介

たった1個のパンを盗もうとして罪に問われたジャン・ヴァルジャン。19年にも及ぶ囚人生活の末に釈放されたが、世間の目は冷たく、一夜の宿にも食事にもありつけない。そんな中たった一人、彼のために家の扉を開け、迎え入れたのがミリエル司教だった。だが、ジャン・ヴァルジャンは、そこでまた罪を犯してしまう。しかしながら、司教との出会いはジャン・ヴァルジャンに人間としての良心を呼び覚ました。やがて彼は名を変え、モントルイユ・シュール・メールの市長となる。ところが、その正体をジャヴェール警部に見やぶられ、やがて追われる身に・・・。悲惨な運命に一条の光となる少女コゼットの存在を織り交ぜながら、不安な社会状況を背景に、ジャン・ヴァルジャンの葛藤と闘いの物語はつづく。小学校上級以上。

【出版社より】
『レ・ミゼラブル』は19世紀フランス文学を代表する巨匠、ユゴーの長大作です。物語は、不安に満ちた19世紀前半のフランスを舞台に、心の葛藤を繰り返しながら、「愛」と「正義」のために過酷な運命を生きるジャン・ヴァルジャンと、社会から阻害されて生きる人々の悲惨を描きながら展開します。ユゴーはこのなかで、人間としての生き方を問いかけるとともに、悲惨を生み出す社会の現実をも告発しました。訳者は、『海底二万海里』『神秘の島』でおなじみの清水正和さんです。長大な原作を半分弱にまとめていますが、物語の骨格はそのままに、原作のエッセンスを余すところなく汲み取った訳文は、読み応えたっぷり。子どもにはもちろんのこと、大人の皆さんにも、作品本来のもつ奥行きと本物の文学の醍醐味を味わっていただけることでしょう。挿絵は定評のあるユーグ版から選定。上・下巻でお届けします。