坂枝圭

評価 4.00

投稿日：2023年05月08日

「嘘泣きってね」東子は構わず話を続ける．「英語で『ワニの涙』っていうのよ．…」＜本書，27%＞ 「クロコダイル・ティアーズ」は咀嚼していて涙が出ること限定ではなく，「嘘泣き」一般に使えるんだね．
老舗陶磁器店「土岐屋吉平」を営む久野貞彦・暁美夫婦の跡取り息子が殺された．判決時に殺害犯が言った捨て台詞から，暁美は息子の嫁・想代子が殺害を依頼したのではないかと疑心暗鬼にとらわれていく．
数字だけの18章で構成し目次はない．三人称表記．視点者は貞彦，暁美，暁美の姉・東子が交代で務め，想代子視点の最終章で真相を語る．
殺人や盗難が発生するが，心理サスペンスの比重が大きい．短中編に相応しそうなテーマを，陶磁器の蘊蓄，心理，情景などを丁寧に描写して長編佳作に仕上げた．これまで『犯人に告ぐ』シリーズなど５作を読んできて，ケレン味のある社会派ミステリの書き手と誤解していた．他領域へウイングを広げていくのだろう．

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購入者さん

評価 4.00

投稿日：2022年11月21日

読み始めたら止まらない。
一気にのめり込んで読んだ。
心理サスペンス好きにはおすすめ。

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