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内容紹介
「私をーーたすけてください」。古本屋京極堂にして陰陽師の中禅寺秋彦が刑事の木場、探偵である榎木津を前にして解き明かす久遠寺家の「血」。呪われた真相は卑劣漢・内藤を恐怖のどん底へと叩き込み、文士・関口の自我を根底から揺るがす。そして京極堂はいう。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」
商品レビュー(1件)
- 総合評価
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“憑き物落とし”の話なのです
- 購入者さん
- 投稿日:2021年10月03日
昔から散々言われているけれども、単純にミステリ作品と思って読むと肩透かしを食らう方もいるかもしれない本作。
それもそのはず。この物語は「謎を解く」物語というよりは、「呪いを解く」……「憑き物落とし」の物語なのです。
後半の場面は凄まじいです。呪いというモノの力、それを解くべく奔走する登場人物たち、緊張感漂う情景。それらが、作者の知識に裏打ちされた筆力で、映像のように眼前に迫ってきます。まさに読者も嵐を走り抜けるような読書体験ができるのではないでしょうか。
そして、すべて走り抜けた先に待っているのが、いわゆる「憑き物落とし」です。
憑き物は、ある意味作中だけの言葉ではないと思います。作者は作中の至るところで、読者の肩にも憑き物を載せているのです。そうしてそれを、京極堂の言葉により、最後にはしっかりと落としていきます。
以前読んだ時に、この凄まじいカタルシスは何だろうか……と思ったものですが、読み返してようやく気づきました。作者は、関口という人物を語り部に据えることで、読者も巧みに物語に取り込み(だからこそ入り込めない方がいるのも重々承知の上です)壮大な「憑き物落とし」をしていたのだと。
ミステリという枠でくくってしまうと、何かが違う。ホラーとも違う。これは「憑き物落とし」のお話です。
「憑き物が落ちる」体験を、ぜひ多くの方にしていただきたいものです。0人が参考になったと回答