商品説明
内容紹介
日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞と大賞受賞者による書き下ろし巨大アンソロジー
常識を超えたギガンティックなファンタジーのアンソロジー。原稿用紙換算で千枚超、文字数にして四十万字弱、一般的な単行本で三冊以上の分量です。そしてそれがすべて書き下ろしです。アンソロジーですが、三百余枚の長篇 「サナギ世界」関俊介が丸ごと収録されています。もちろん前例のないことです。
参加者は十八名で作風は日本ファンタジーノベル大賞の傾向そのままに多岐にわたります。想像力への旅をお楽しみください。
小田雅久仁「旅路」
主人公はホテルの一室で目をさます。なぜそんなところにいるのか自分にはまったくわからない。そして隣には裸の女が寝ている。左手首を見るとそこには腕時計にも似た奇妙な黒い機械が肉に喰いこまんばかりに装着されている??異才にして鬼才のめくるめく恐怖と幻想の異世界周遊をどうぞ。
粕谷知世「いき・かえり」
子供時代は神話として現在も残る。神話的な通学。叙事詩的想像力の作家からうまれた詩的短篇。
西崎憲「影機」
蕃東国シリーズ未来篇。父親という概念にとりつかれた影の機械。
日野俊太郎「鬼街」
戦のある地に忽然と出現する遊郭。凄艶な鬼の遊女たちと醜い名無しの男。妄執の果ての昏い物語。
南條竹則「温泉叙景」
ノンシャランな幻想譚の書き手にして怪奇小説の名訳者はエッセイの名手でもある。温泉と猫。
冴崎伸「空想の現実〜ミャンマーの沼/ぼくと博士の楽しい日常〔裏の目薬〕の巻」
冴崎伸はプロ格闘家から起業家に転じ現在は複数の会社の役員であるという。物語のなかにしかいないような稀有な実業家ファンタスト。アジア小景とユーモア児童文学の二篇。
北野勇作「『クラゲ怪獣クゲラ対未亡人セクシーくノ一 昼下がりの密室』未使用テイク」集
進みつづけるSF作家。いやSFではなく、もうジャンルは「北野勇作」かもしれない。不穏な世界の不可知のくノ一。
石野晶「死人花」
独自のリリシズムと空想、幻想の作家。死者の記憶をたくわえる死人花(しびとばな)、朝霧のなかに玻璃の儚さで咲くその花が伝える真実とはいかなるものだったのか。
大塚已愛「せみごゑ」
記憶をなくしたまま島に流れ着いた男。そして目の前に現れた蝶を嚥下する少女、不思議な男、島の生活。鮮やかで切ない幻想譚。
久保寺健彦「立ち入り禁止」
少年少女のなかにある暗渠に似たなにかを描くとき久保寺健彦は冴えに冴える。そして暗渠はおそらく消失することはない。あなたやわたしの暗渠。
森青花「ちゃとらのチャトラン」
極限にまでテンポを落とした脱力的レトリック。しかし深い希求。猫への愛。存在への愛
斉藤直子「大地は沸かした牛乳に」
文体家(スタイリスト)の多い日本ファンタジーノベルの作家のなかでも特筆すべきスタイリスト斉藤直子。「ゴルコンダ」にはじまる「僕と先輩」シリーズ最新作。オフビートかつ軽快なユーモア。
三國青葉「ばっくれ大悟婆難剣 冬虹」
大らかでのんびり屋だがじつは腕もたつ大悟と将軍吉宗の母由利のライトハーティドなシリーズ三作目。今回は「フグ」をめぐる騒動。
柿村将彦「反省文」
異才の数は世に少なくないが柿村将彦は新時代の異才である。学校に遅刻して反省文を書かされた主人公が語る遅刻の理由。一風変わった想像力と感情の機微を書きわける修辞力の貴重な合体。『万象ふたたび』 の「こいだま」も刮目すべき傑作。
藤田雅矢「ブランコ」
エヴァーグリーンなSF作家。本作は町の博物誌+世界の危機という魅力的な結合体。SFはけっして終わらない。
堀川アサコ「3つの生け簀」
堀川アサコは世界や人間の湿った部分を描くことに巧みである。読者の多い作家になったのはそのことが理由のひとつだろう。本作は日常を侵食する伝奇を描いたものである。
勝山海百合「紫には灰を」
切れ味のある修辞で人と人とのつながりを描く勝山海百合は、コレクションをするように小宇宙を造りつづける。今作では「染色」が未来と古代をつなぐ糸となり、それは同時に人と人も結ぶ。美しい未来譚。
関俊介「サナギ世界」
遠未来。ヒトがすでにいない地球で生きるヒト派生種のバッタたち。捕食される種に生まれた者たちの冒険、苦闘そして希望。関俊介も本作の登場人物たちのように知恵と勇気と根気でオリジナルな視点と発想に満ちたファンタジーを作りあげた 。本作は今後日本のファンタジー史における異貌の傑作として言及されるだろう。
表紙は井村恭一。
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